第3章 確信
響也side
それから更に1週間。
三上とは連絡が取れていない。
昨晩から当直をしていた俺は時計を見てそろそろ合田が来る時間だと確認する。
「おはようございまーす。」
「お疲れ。」
「昨晩何もなかったっすか?」
「特に。週末でもないからな。」
金曜や土曜は飲み屋街が騒がしくなり、よく酔っ払いだとか問題事を起こす。
今日は平日の真ん中。
特に通報などもなく平和だった。
合田とたわいも無い会話をしていると、スーツを着た男性が走って交番に入ってきた。
「あ、あの!!」
「どうされましたか?」
なにかまずいものでも見たのか顔色が悪く、冷や汗もかいている。
「ひ、人がっ!倒れてっ!」
「どこですか?」
俺は合田とその男性に案内された方へ走って向かう。
交番からは近かったが、人通りが少なく暗い路地裏にゴミの山に横たわる人影があった。
酔っ払いか?
こんなど平日に?
「おい、大丈夫か?」
横たわる人物に近づき声をかけるが返事がない。
呼吸も浅い。
顔が見えず、その人物を仰向けにする。
「おい、聞こえ……っ!」
「先輩、どうですか?また酔っ払……え?」
三上だ。
どうしてこんな所に。
しかもこの傷。
「なん……で……っ!」
その瞬間目眩と吐き気が俺を襲った。
優の時の記憶がチラつく。
三上の頬にもあの時と同じように涙を何度も流した痕があった。
「先輩!救急車!」
合田が必死に俺に声をかけるがその声も遠く感じ、俺には届かなかった。
「先輩!」
「あ、あぁ……そうだ……きゅ、救急車……」
「先輩……俺が呼びます。先輩は本部に電話して休んでてください。」
合田が俺の体調に気づいたのか気を使ってくれた。
俺は震える手で本部に電話し嘔吐しそうになるのを何度も堪えた。
合田は三上の体をゴミ山から安全な場所へ移し意識の確認している。
俺は何も出来ない。
あの時と同じだ。
「三上……何が……」
間もなくして遠くから救急車の音とパトカーの音が近づいてくるのがわかった。
俺も三上と救急車に乗り込み病院へと向かった。