第2章 予感
千明side
さっき急に抱き着かれたのは一体なんだったんだ、と疑問に思いながら佐野と向かい合って食事を摂る。
佐野は何事も無かったかのようにすました顔で食べているが、俺は内心ソワソワしていた。
聞かない方がいいのは分かってる。
だってコイツ……
俺の背中で泣いてた。
本人は気づかれないようにしていたつもりだろうが、首筋に暖かい水滴が落ちてきたのが分かった。
だから俺も黙ってされるがままに立っていた。
そして気づくと俺は佐野の頭を撫でていた。
自分でも不思議だった。
何か辛いことでもあったのだろうか。
「そういえばお前。」
頭の中でグルグル考えていると佐野が急に話しかけてきた。
「髪型、変えたんだな。」
「え、あぁ……うん。気分転換に。」
「……そうか……似合ってる。」
「えっ?!//」
急に言われて驚いた。
似合ってる?本当に?
今まで気づいても反応してくれなかった人ばかりだったからか凄く嬉しく感じた。
胸が熱くなり高まるのが分かった。
「な……何言って……//」
「まぁ、違和感はありまくりだがな。」
「うっ……うるせぇ……」
一言多いな。
俺が1番それは分かってる。
元々黒髪だったから大丈夫と思っていたが、やはり金髪に見慣れていたからか、違和感は凄い。
でも……
『似合ってる』
初めて褒められた。
嬉しい。