第3章 悩みに悩んで結局ベタなものになっちゃう。
「やっべ、飲みすぎた…」
大方の隊士が酔いつぶれたところで、宴会はお開きになった。
ヤロー共は広間でつぶれたまま雑魚寝しているが、
さすがに女の私はそうもいかない。
なんとか身体を引きずり、部屋へと向かう。
部屋につき、襖を開けると、人の気配。
そして、嗅ぎなれた煙草の臭いがした。
電気をつけると、そこにはいつの間にか姿を消していた今日の主役がいた。
「おせぇ。」
「あ…土方さん…」
言わなきゃいけないことがいっぱいあるような気がしたけれど、
全身にアルコールがめぐっている状態で脳みそなど働くわけがなかった。
「あんまり酔っぱらってないんですね」
最初に出た言葉はそんなものだった。
そっと土方さんの横に座る。
さも同然のように土方さんは私を引き寄せ、私の身体は彼の胸の中におさまった。
されるがまま顔をうずめ、その心地よい臭いを堪能する。
「アキは飲みすぎだ。」
「土方さん、お誕生日おめでとうございます」
「おう。ありがとよ。」
ぎゅっと土方さんの背中に手を回し、
避けていたが故に伝えられなかったその言葉を伝えた。