第2章 離婚か風俗か
「着替えられたか?」
夫がリビングから呼ぶ。リビングでテレビでも視ているらしく、バラエティーのやらせの様な笑い声が響いてきた。
真面目に考えているの?本当に?
それとも、深刻にならないようにバラエティー?
ドアを開けて、リビングに入ると、
「ほう・・・。似合うじゃん」
笑う夫。テレビは「ガキの使いやあらへんで」だった。夫は、関西に行ったこともないのに、お笑いが好き。
ココリコ田中、月亭方正、浜田雅功が映っていた。
確かに、こういう背景で、こういう笑いの方が、深刻にならないでいいのかもしれない。
夫が何を考えているかはわからないけど・・・。ある意味、わたしだって道化みたいなものだもの。
と思ったら、テレビを消して、
「いいね。野々花に、似合うとは思わなかったよ」
と、ニヤニヤと笑う夫。
「野々花って、意外に、こういうの似合うよ」
と、さらに重ねて話す夫。視線がいやらしい・・・。
「幼馴染だし、童顔だからさ、いつまで経っても、ガキっぽいって思っていたけど、こういうセクシーランジェリーを着ると、いつもと違って、俺まで興奮するよ」
言い出した夫。いつもと違って・・・。そう、最近、夫は求めて来なくなった。タイミング法だとか、不妊治療のことを始めてから、なんとなく、普通に求めてくることはなくなった。
大学時代は、3日できないと、暴発しそうなくらい求めてきて、辟易した記憶があった。
たぶん、あの頃が一番、ラブラブチュッチュをしていた。一晩に、3回とか、普通だった。
でも、思い返すと、もう一週間以上していない。それに、ムードも何もあったものではなかった。
「結婚記念日だし、一応、する?」
とか、そんな感じで、記念日なのに、サプライズも何もなかった。その前は、
「クリスマスイブだし・・・」
で、押し倒されて、濡れていないのに、無理やり入れられて、それでも、濡れ始めて、痛いというほどではなかったけど、前戯もなしで、果てたら終わりみたいな。
ただでさえ、早漏の夫。3回くらい頑張ってくれないと、わたしはイケないのに。