第2章 離婚か風俗か
「冗談はよせよ」
と、一応、言ったけど、明らか、挙動不審な夫。わたしにはピンと来たわ。夫も、わたしと離婚を考えている。
「一人っ子の静也は、家族が欲しいって、ずっと言っていたから、その気持ちはわかっているつもり。でも、わたしは、静也も知ってのとおり、6人姉妹の末っ子だから、余計な子だったから、家族なんて、静也ほど、必要だと思っていないの」
と、笑った。わたしの顔を見る夫。
「こんな格好で、風俗で働いてまで、わたしは子供が欲しいわけじゃないの。ごめんね」
と、わたしが言うと、
「そうか。俺は、どうせなら、お前との子が欲しかったけど。たしかに、無理かもしれないな。俺の稼ぎがもっとあれば、何とかなったのかもしれないけど・・・」
夫は嘆くように、声を絞り出した。
「わたしのこと、本当に好きだったの?」
聞いた。
「好きだった?今も好きだよ」
夫は、怪訝な顔だった。
「そう?好きなのに、他の男に抱かれることになる風俗で働けばってなるの?」
わたしは作り笑顔で聞いた。
「短期間で金を稼ぐには、それしかないから、仕方がないじゃないか」
夫は、わたしの顔を見つめながら、言った。
「そうかもしれないけど、わたしは嫌」
単刀直入に答えた。
「そうか。野々花は、セックスが好きだから、ソープなら働けるかなって思ったのに」
夫はとんでもないことを、さらっと言った。
「あのね。セックスが好き?静也が求めるから、応えてきただけよ」
言い返すと、
「そうかもしれないけど、激しいから・・・」
「それは、静也だから。静也、激しいのが好きなんでしょ。わたしは静也に教えられたのよ。覚えている?初めてのエッチから、ずっと静也なのよ」
わたしが指摘して、やっと思い出したのか
「そうだけど。野々花は俺以外としたいとは思わないの?」
と、話す夫。
「どうして?好きでもない男の人としたいとかないし。静也はどうなの?わたし以外としたことはあるの?」
と、少し恥ずかしかったけど、聞くと、
「野々花と付き合う前にはね・・・」
想像はしていた。大学1年生の時。わたしは初体験だったけど、夫は慣れていたから・・・。