• テキストサイズ

あの日見た桃の思い出

第1章 仕送り


 ピンポーン。

「誰かピンポン鳴ってるよ??」

「あ、すいません、俺っす。行ってきますね」

「あ、ちょっとMEN、待って待って、ここで……」

 ドズルさんが何か言っていたが、俺は無視して配信部屋を出る。

 寄りにもよって鬼畜配信中に何か頼んだっけ、と玄関を開けると大きな平たい箱。

 俺は配達員にあれやこれやをして箱を受け取る。

 祖父母宅の果樹園で採れた箱詰めされた桃だった。

 とりあえず俺はそれを適当な場所に置いて配信に戻ると、さっきより酷い状況になったゲーム画面を見て絶句する。

「……何があったんすか」

 ようやく俺が声を出せば、ドズルさんが話し始めた。

「MENがピンポンに行っている間にベットが壊れて、爆発に巻き込まれて初期地スタートだよ……」

 はぁ、と言いながらもゲーム上を走り去っていくドズルさんを見、俺はどうやら初期地に戻されたらしいと知る。

「五時間っすかね」

 俺はこれからどれくらいかかるか予想を吐き捨てた。かなりの鬼畜企画だ。だけどちょっとワクワクもしていた。
/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp