第1章 仕送り
ピンポーン。
「誰かピンポン鳴ってるよ??」
「あ、すいません、俺っす。行ってきますね」
「あ、ちょっとMEN、待って待って、ここで……」
ドズルさんが何か言っていたが、俺は無視して配信部屋を出る。
寄りにもよって鬼畜配信中に何か頼んだっけ、と玄関を開けると大きな平たい箱。
俺は配達員にあれやこれやをして箱を受け取る。
祖父母宅の果樹園で採れた箱詰めされた桃だった。
とりあえず俺はそれを適当な場所に置いて配信に戻ると、さっきより酷い状況になったゲーム画面を見て絶句する。
「……何があったんすか」
ようやく俺が声を出せば、ドズルさんが話し始めた。
「MENがピンポンに行っている間にベットが壊れて、爆発に巻き込まれて初期地スタートだよ……」
はぁ、と言いながらもゲーム上を走り去っていくドズルさんを見、俺はどうやら初期地に戻されたらしいと知る。
「五時間っすかね」
俺はこれからどれくらいかかるか予想を吐き捨てた。かなりの鬼畜企画だ。だけどちょっとワクワクもしていた。