第7章 白蛇
その後日、本当にぼんさんから深刻な機械トラブルの話は聞かなくなった。
やっぱ守護霊って大事なんだなぁとドズル社での仕事を終えて帰宅をすると、リビングに何かを咥えた蛇がいてびっくり!
「ぎゃあ?!?!」
我ながら変な声をあげながら尻もちをついた私だったが、蛇の姿をよくよく見て気がついた。黄色い目をした真っ白な蛇。MENさんの守護霊だ。
「し、白蛇さん、なんでここに……」
私はなんとか声は絞ったが、腰が抜けて立ち上がることが出来なかった。白蛇さんは、何かを咥えたままシャッシャッと笑った。
「今、ドズル社メンバーは南国に旅行中でな? そこで良いものを獲れたから、オヌシにも見せてやろうと思ってな」
「へ……」
情報量多くない? どういうこと?
けれども白蛇さんは、口に咥えたものを何事もなく床に置いて私を見上げた。見たくなくてもつい見てしまう。茶色っぽい大きめのネズミだ。
「旅行先で丁度いいネズミを捕まえてな。しばらくお礼は良さそうということをあとでMENに伝えて置いてくれ」
「え……私がですか?」
「他に誰がワシのことが視えるとでも?」
「いや、でも……」
「そんなことより、お礼というのはこういうネズミでな。本来は焼いたものが好みだが、次にワシが欲しいと言ったらこれくらいのネズミを頼むぞ。そのことを伝えるためにもわざわざこっちに来てやったのだ。しっかりネズミの大きさを見て置くように」
「あ、あの……」
「じゃあまたな」
私の言葉を一切待たずに白蛇さんはまたネズミを咥えてどこかへと消えていった。まさに神出鬼没過ぎる。少しくらい私に気を遣って欲しいものだ。
私は、ようやく立ち上がってスマホを開いた。
……連絡先は知っているけど、いきなりどうやってメッセージを送ろう?
私は妙なことに頭を悩ませることとなった。