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あの方々の守護霊は4[dzl]

第6章 ぼんさんの守護霊2


「え、マリー様が?」
 ぼんさんはそう言いながら玄関の方へ向かった。だが、玄関に立つ恐らく守護霊、マリー様は、微動だにせずこちらをじっと見据えていた。
 ぼんさんの守護霊は、ゲームの中のキャラクターであった。これもかなり珍しいことで、最初見た時はびっくりした。
 私が立ち尽くしている間に後ろからモダンくんがやって来て明るく笑うが、彼もぼんさんの守護霊だ。なんでも、ぼんさんがよく遊ぶ格闘ゲームの最初のキャラクターみたいで、顔に傷があるアメリカンな雰囲気が特徴的な守護霊である。
 そして玄関に立つ大柄な女性守護霊も、その格ゲーキャラクターであることは私は知っていた。ぼんさんが「マリー様」と呼ぶからすっかりその呼び方が板についた私だが、最近はマリー様の方を使っていたのだ。
 使わなくなったキャラクターのモダンくんが今でもぼんさんの守護霊なのは不思議なことのようだが、ぼんさんは人柄がよく優しいので、守護霊がそれを好んでいつも何か悪いものから守ってくれているらしい。しかもぼんさんから離れてウロウロすることも出来る守護霊のようで、カラフルで鮮やか、なんなら全身もあるから、まるで生者のように見えてぎょっとしてしまうのだ。そのマリー様も同じだ。
「とりあえず開けるよ?」
 とぼんさんが代わりに玄関を開けてくれると、マリー様が何も言わず私の方に近づいてきた。デ、デカイ……私はその体のデカさと背の高さに圧倒されて言葉を失っていた。
「歴史を感じるかい?」
「へっ」
 しゃ、喋った……?
 しかし、私が何か返事をする前に、ふわっと私を避けずに消えてしまい、話しかけることは出来なかった。ていうか圧がすご過ぎる……マリー様ってあんな感じだったのか……。
「大丈夫?」
 ぼんさんが心配そうに顔を覗き込む。私はなんとか頷いて、よく色んな幽霊に好かれてたまに機械トラブルを起こしていたぼんさん宅は、もう安心なんだろうなぁと心の奥で思っていた。
「大丈夫です」
 詳しくは分からないが、マリー様は玄関に立っていた。ということは、マリー様はぼんさん宅の門番みたいな守護霊なのだろう。私は、なんとなくそう思った。
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