第2章 ドズルさんの守護霊
ドズルさんに案内され、使っていない談話室へと向かう。
ドズルさんは何も視えてはいないのでいつも通りだが、私はついソレから目を逸らすことばかりに必死になってしまう。
そして、私がソファに座ると、向かいのドズルさんが切り出した。
「僕に、何か視えるの?」
わざわざ二人だけの部屋に来てこの話をし出すのは他でもない、私が視えることを隠しているからだ。子どもの頃は視えるといえば変人扱いされ、視えていることを隠し続けることしか出来なかった。
それをあるちょっとしたことで彼らドズル社メンバーの五人にだけは明かすこととなり、なんだかんだ彼らを助けることにも繋がったりしていた。だから今回も、気になるのだと思う。
「悪いものではないとは思うんですが……」私はゆっくりと話を続けた。「ドズルさんに、赤い花の幽霊が憑いています」
花の幽霊、なんて非現実な言葉が、エンジニアの私から出るなんてとてつもなくシュールだが、ドズルさんは疑うことなく目を丸くし、それから考え込んだ。
「赤い花? 僕、何か悪いことしたかな」