第1章 始まりは奇妙から
私はドズル社で働くメカニック課のエンジニア……の補佐員である。というのも、私はこのドズル社から来てまだ日が浅く、本格的なエンジニアの仕事はしていない。なんなら下っ端みたいなもんで、なぜか年明け早々水漏れをしたトイレの配管修理に駆り出されたこともあった。手先が器用なのが幸いして見事応急処置はし、年明け休みが多い世の中、本格的な事業所の人が来てくれるまではなんとか使えるまでに至った。
ということで、私はかなりの頻度を機械とは関係ない仕事をしているタイプではあったが、これはこれで楽しかった。最近はゲームのテストプレイも任されることになったし、ますます楽しいことばかりだ。
「ドズルさん、あけましておめでとうございます」
そうこうとしている内に、年明けのドズルさんも会社に出勤して来たみたいだ。周りのスタッフたちが次々に挨拶をしていて、私も挨拶をしようと目を上げたのだが……。
「……あれ?」
私は咄嗟にそんな言葉が出てきてしまった。
「あけましておめでとう……ってどうしたの?」
ドズルさんは私に挨拶をしてきてすぐに取り繕うとしたが、さすがここの社長というべきか。私の動揺に気づいたみたいだった。
「別の部屋で話す?」
というのも、ドズル社メンバー五人は、私の秘密の特性を知っているのだ。
幽霊が視えるということを──。
『あの方々の守護霊は4』