第11章 MENさんの守護霊
その後、私たちはすっかり楽しくなり、色んな店を回ったり話し込んだりして夕方頃に帰宅した。
とても楽しい時間はあっという間だったが、気掛かりは早めに解決しないと、と次の出社日、おんさんに頼み込みに行った。
「おはようございます、おんさん。……ちょっと、頼みたいことがあって」
「なんですか?」
そして私は、MENさんの機械メンテナンスをおんさんから代わってもらい、半ば無理矢理MENさん宅にお邪魔することになった。おんさんは何も聞いてこなかったが、なんとなくそっち系の話だというのは勘づいたっぽかった。周りの噂はますます酷くなったかもしれないが、視える私がするべきことは、やって置きたい。
MENさんも特に問題はないと返事が来て、私は予定を合わせてMENさん宅に行くこととなった。そこではいつも通り、朗らかで礼儀正しいMENさんが出迎えてくれた。
「すみません、急に訪問しちゃって」
幽霊の話が文面に残るのはちょっと嫌な感じがした。本当はメッセージだけで良かったと思うんだけど……とチラッとMENさんの様子を見ると、その肩の上に真っ白な蛇が居座っていた。
MENさんの守護霊は白蛇の姿をしている。その正体は、MENさんのご先祖さまということだが、何世代目の人物なのか、本当は何歳なのかなど私は詳しく知らない。
「先に、機械の点検をしますね」
と私はMENさんの配信部屋でいつもの定期点検を済ませる。これは最初の頃にやり方を聞いていたからすぐに終わった。
点検が終わると、MENさんがこれしかないと言いながらミネラルウォーターを入れたコップを用意してくれた。私はこれから話す幽霊のことに口が渇いていたので、ちょっとありがたかった。
「どうぞ、こちらに」
と手招きされた座布団に私は正座してまずは水を飲んだ。
「ありがとうございます。……話したいことがあって、スタッフさんと代わってもらいました」
私はとうとう本題に入った。