第10章 旅行の話
「あ、MENのぬいぐるみや!」
ゲーセンに行くと、ドズル社グッズを置いてあるUFOキャッチャーを発見した。確かに、会社にはグッズ課もあったけど、こんな可愛いぬいぐるみがあったのは知らなかった。
「へぇ、可愛いですねぇ」
「よし、見ててな! 僕が取ってみるから!」
私も一緒にUFOキャッチャーを覗き込むと、おらふくんは腕まくりをしてコインを放り込む。隣におんりーさんがやって来て、多分長くなりますよ、と小声で言ってきた。
「あ、落ちちゃった! ……もう一回や!」
そうして何枚コインを溶かしたか、おらふくんはかなりのお金を消費してMENさんのイメージキャラクターがデザインされたぬいぐるみを取った。こんなに真剣にUFOキャッチャーを見たのは初めてかもしれない。年甲斐もなく私も盛り上がってしまい、取れた時にはついハイタッチまでした程だ。
それからというものの、周りの怖い幽霊が気にならなくなり、自分の買い物もスムーズに済ませることが出来た。私はそこまで即決出来るタイプではないので、長い買い物に付き合わせてしまったかなと思っていたけれど、二人は嫌な顔せずにこやかだったので、彼らがゲーム実況者として人気なのも分かる気がした。