第9章 おんりーさんとおらふくんの守護霊
「街の中にも幽霊が……?」
「大変やったねぇ……あ、ここは奢るから好きなの頼んでな〜」
私たちは、近くにあった喫茶店の奥で話をすることになった。おんりーさんは私から幽霊の話を聞いた途端顔色をわずかに悪くしたが、おらふくんは明るい顔でメニューを渡してきた。
「すみません、お出かけ中に……」
私は頭を下げてメニューを眺めた。奢りたいのは私の方だ。二人とその守護霊に助けられたようなものだし。
おんりーさんの守護霊には、ゲームキャラクターのアレイという妖精が憑いていて、悪いものからは守ったり祓ったりしてくれているみたいだ。さっき街の中で見かけた時も、黒い幽霊が逃げていたのはこの守護霊のおかげなのだと思う。
ただ、更に強い力を秘めているのがこの守護霊のいないおらふくんの方だ。おらふくんの明るい性格からなのか、おらふくん自身には悪い幽霊を浄化させる力を宿しているらしい。この二人の見えない力が、街の中にいる黒い幽霊たちからも退けているのだと思うと頷ける。
「お二人のおかげで助かりました。ここは私が奢りますね」
「いやいやええよええよ! てか僕何もしとらんし」
「同じく俺も何もしていないんで」
私が財布を出そうとすると、おらふくんとおんりーが代わりに払おうとする。いつまでも二人に頼る訳にはいかないと私が粘っていると、ふとおらふくんがこんなことを聞いてきた。
「これから買い物しようとしてたんですよね?」
急になんだろうと思いながらも私は頷いた。
「まぁ、はい、そうなんですけど……」
「僕たちと一緒にお店回りませんか? 僕らの用事はもう終わったし、ここら辺歩いて回ろっておんりーと話してたところなんです。ね、おんりーもそれでいいでしょ?」
「俺は構わないけど……」
とおらふくんから私へと目を向けるおんりーさん。私がここを払う代わりに、一緒に買い物に付き合おうということなのだろう。正直、守護霊や守護の力が強い二人がいるのはありがたいけど、迷惑なんじゃないだろうか? と躊躇ってしまうが……。