【ヒロアカ】change the truth【R18】
第2章 目を開けるとそこは
相澤先生の背中を追うようにして校舎へと足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのは広々とした廊下と高い天井だった。どこか近未来的なデザインが施されているのに、学園らしい活気が感じられる。
……ここ、本当に『ヒロアカ』の世界なんだ……
頭の中はまだ混乱していたが、先ほど頬をつねった痛みがリアルで、否応なく“ここが現実”だと訴えてくる。
相澤先生が廊下の奥にある扉の前で立ち止まる。そして、控えめにノックの音を鳴らした。
「校長、少しよろしいですか」
中から聞こえてきたのは「どうぞ」という短い返事。相澤先生が扉を開けるのを見計らい、私もその後ろに続いて部屋の中へと足を踏み入れた。
すると、そこにいたのは――
「……え?」
思わず言葉が漏れてしまう。
机の上にちょこんと座っていたのは、スーツを着た小柄な“生き物”だった。白くふわふわした毛並みに、目元には痛々しい傷跡。人間に似ても似つかないその外見は、まるでネズミを擬人化したような姿だ。
その“ネズミのような生物”と視線を交わす。正面から見つめられた瞬間、奇妙な迫力を感じて息が詰まる。
校長……この人が、校長……?
頭の片隅で、そう理解しようとする自分がいる。だけど、自分が知っている“校長先生”のイメージとはあまりにもかけ離れていて、思考が追いつかない。すぐ脇で相澤先生は話し始めているが、私の耳にはまるで遠い場所からの声のように届いた。