【ヒロアカ】change the truth【R18】
第2章 目を開けるとそこは
「……嘘はついていないようだな」
ポツリとつぶやいた相澤先生の言葉に、私は思わず息を飲んだ。どうやらとりあえず疑いは晴れたらしい。
「一旦、校長に指示を仰ぐ。ついてこい」
そう言い残すと、相澤先生は私に背を向けて、歩き出す。取り残されまいと私は急いで声を上げた。
「......あ、はい!」
少し裏返った声が我ながら情けない。けれど、この異様な状況では仕方ないだろう。とにもかくにも、その背中を必死に追いかけるしかなかった。
ふと、頬をつねったら現実か夢かわかるんじゃないかと思い、頬を思い切りつねってみた。
いたっ!
遠慮なしに攻めてしまったのか、じんと広がる痛みに、思わず心の中で叫んでしまう。
痛い。すごく痛い。ちゃんと感覚がある。となると、ここは夢なんかじゃない。だけど、だからといって現実世界だとは断定しづらいほど、この光景は"現実”であるには奇妙すぎた。
相澤先生の背中を見つめながら、痛む頬を押さえて混乱する自分の気持ちを必死に落ち着かせようとするけれど、どうにも頭がついていかない。
ただひとつ、はっきりしているのは、ここが「ヒロアカ」の世界で、五感を通して確かに"現実”と同じくらいリアルに感じるということーー。だからこそ、足がすくむほどに怖くもあり、同時に心が不思議な熱を帯びていくのを感じた。