第1章 始まりは突然に
『深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ』
僕はこの言葉がわりと好きかもしれない。知らんけど。
だけどまさかこんなことになるとは。
僕は、夢を見ているんだと思うけど……。
目の前に大きな穴があった。某ゲームのとある企画で似たようなことはしたかもしれない。脳というのは過去の出来事を夢で回想しているみたいだからね。まぁつまり、ゲームのやり過ぎってやつだと思うけど。
僕はその大きな穴を覗き込んだ。穴の奥はエンドの奈落みたいに真っ暗で、僕は本当に穴を覗き込んでいるのか、それともただの黒い大きな丸く塗り潰した地面を見ていたのかどうか分からなくなるくらいだった。
すると穴から真っ黒な複数の手が出てきて。僕は確かに、穴の中に引きずり込まれたのだ。
『深淵もまた覗く』