第35章 闇の男爵夫妻
椛「なんだか、私が悪い事してるみたいじゃん…」
降谷「あははっ!
ごめんごめん、そんなつもりは無かったんだが、ちょっと揶揄いが過ぎたな…」
一度謝ると、先程待っていたキスが落ちてきた。
唇もやはり、しっとりと濡れていて、既に何度も重ねた後の様な弾力に、どうしても身体が自然と反応して、腰が疼いてくる。
室内に僅かな水音が響き渡り、その音に脳が浮つき始める。
少し名残惜しそうに彼が顔を離すと…
降谷「…出てきたら、椛の髪は俺が乾かす。」
椛「分かった…
じゃあ入ってくるね。」
椅子から立ちがある前に、彼の後頭部に手を伸ばして、再度軽くキスを交わすと、彼女は満足そうな表情を浮かべて、お風呂場に向かっていった。
30分程でお風呂上がりの姿に、ドライヤー片手でリビングに戻ってくる。
彼も何か作業をしていたのか、持ってきていたのであろう、自身のパソコンと向き合っていた。
邪魔しては悪いと思い、『自分で乾かそうかな』と思ったところで声をかけられる。
降谷「早かったな?
もう良いのかい?」
椛「うん、零がせっかく来てるし…
パソコン作業邪魔した?」
降谷「いや、物凄い急ぎの案件では無いし大丈夫だよ。」
椛「そっか。」
降谷「椛…」
開いていたパソコンを閉じると、名前を呼ばれて手を差し出される。
彼の視線で意図を汲むと、手に持っていたドライヤーを手渡した。