第35章 闇の男爵夫妻
椛「…
私は色気あるタイプじゃ無いよ。
それより零がいつも綺麗…」
髪先に触れていた手を少し下ろして、今度は彼の頬に触れる。
お風呂上がりだからだろう。
いつもより少し熱く、そしてしっとりとした肌は触っていてとても心地よい。
そのまま撫ぜるように首筋に移動させると、少しくすぐったかったのか、目を細める彼の表情の変化に、心臓がドキリと反応した。
少しづつ彼の顔が近づいてくると、彼の呼吸が頬をそっと掠める。
口付けが落ちてくるのかと思い、目を閉じようとしたが唇が触れる瞬間、彼の動きがぴたりと止まる。
降谷「…俺ももう一回、
椛と一緒にお風呂入ろうかな…」
唇が触れると思い、胸を高鳴らせていたのに、思わぬ提案の言葉が降ってきて、閉じかけていた目を開く。
椛「…もう、何でよ…
せっかくお風呂入ったんだから、零も疲れてるだろうし、ソファにでも座ってくつろいでてよw」
降谷「1人でソファに座っているより、椛と一緒に湯船に浸かっていた方がくつろげるし、癒される。」
椛(えっ…
それ、私がくつろげない流れなんですよ…)
言い返さずに固まってしまった彼女の様子を見て、今日は否定だと感じたのか…
降谷「ふっ…
冗談。
今日は椛がお風呂から出てくるまで、ソファで1人、寂しくくつろごう。」
少しトゲというか、ユーモアと言えばいいのだろうか…
そんな言い回しに、椛は少し眉を下げて困った表情向けた。