第33章 ゼロのコーディネート
『言葉が足りなかったか?』
と思い、更に説明を続ける。
椛「女性は、苗字が変わったり戻ったりする事もあるじゃないですか?
けど名前は変わったりしないので。
暗黙の了解と言うか…
そう言う所ありますよね。
日本人の、察するの延長の気遣いだと思いますけど…」
風見「!?!?!?」ハッ
彼女の言葉に、一瞬で頭の中で色々な妄想が広がったのか…
突如あたふたし始める風見。
風見「あっ…
そ、そ、そ、そそうですよねっ!
そこまで考えな事なかったですっ!
プライベートで、人と関わる事はあまりないものですからっ…
な、な、な、なるほど!
確かに貴方の言うとおりだ!
分かりました!
そうですよね!
結城さんは結城さんじゃ、なくなるかもしれないですもんね!
わ、わ、わ、分かりました。
こここここ、こっ、これからは名前で、よ、よ、よ呼ばせて、頂きますっ!」
これ程までに分かりやすく動揺する風見の様子を、助手席から眺める。
椛(風見さんって…
なんと言うか…
可愛い人だなw
公安エリートのギャップ萌?)
そんな様子を間近で見せられると、思わずイタズラ心が顔を出し始める。
椛「いや、私も変わらないかもしれないし、未来のことは分からないですけど…
何か風見さんのこだわりがあるなら、そのまま苗字呼びでも良いですよ?
私も苗字、このまま変わらないかもしれないし。」
風見「いえっ!
ダメです!
こ、こ、こ、こ、これからは、下の名前で、よよよ呼ばせて頂きます!
じゃないと『降谷さん』が2人になるかもしれないですしねっ!」
一生懸命答える風見の様子に、笑が溢れてしまう。
椛「いや…
そう言う事じゃ無いんですけど…」
椛(ちょっと揶揄いすぎてしまったかしら…
ごめん、風見さんw)
そんな風見の様子を、暫く穏やかな気持ちで、運転席から観察し続けている椛であった。