第32章 装飾品の秘事
「ピンポーン♪」
お昼が過ぎた頃。
閑静な住宅街に佇む椛。
インターフォンを押して、家主からの返答を待つ。
久しぶりに訪れた少し変わった外観の邸宅を眺めながら、先日訪れた時に見た家の中の様子を思い出していた。
「どうぞ〜♪」
門をくぐると、ちょうど出迎えに玄関扉が開き、家主がひょっこりと顔を出した。
博士「椛君♪」
椛「こんにちは、博士♪」
博士「もうすっかり元気そうじゃな。」
椛「お陰様で。
その節はご心配をおかけしました。」
博士「いやいや、ワシは見舞いに行ったぐらいで、何もしとらんよ。」
玄関扉を通り抜けると、博士の後をついて歩く。
そのままリビング…
と言っても普通の家のリビングとはかけ離れているデザインだが、ダイニングテーブルの椅子を引かれて座るように諭されると、素直に席に着く椛。
前回来た時は、コナンと灰原もいたが、今日はまだ2人は学校に行っている時間の為、博士と2人きりだ。
博士「早速だが…
これが昨日話していた代物だよ。」
そう言って、手に収まる程のサイズの箱を一つ椛に差し出す。
椛「昨日の今日だったのに…
本当、ありがとうございます。
流石ですね…。」
博士「いやいや、そんな難しい物でも無かったしな。」
椛「箱、開けて見ても?」
博士「あぁ、もちろんじゃとも。
確認して見てくれ。」