第31章 エルダーフラワーかローズか否か
カーテンの隙間から陽の光が差し込む室内に、アラームの音が鳴り響く。
サイドテーブルに置かれたスマホに腕を伸ばし手に取ると、アラームを止める。
そのまま腕を上げて、一度体を伸ばす。
そして隣に横たわる彼女を、再び愛おしそうに抱きしめた。
降谷「椛~、
起きる時間になったよ?」
椛「うん、起きようか…」
『起きよう』と言いつつも…
一先ず彼の背中に腕を回して、彼からの抱擁に答える。
触れる所から伝わる、彼の体温と温もりが安心感と充足感を与える。
目は覚めているものの、心地の良い彼の腕の中にもうしばらく甘えていたい気もするが…
残念ながら、時間は待ってはくれない。
椛「零もシャワー浴びるよね?
家出る時間早い方から、お先にどうぞ?」
すぐ目の前にある彼の頬に口付けて、言葉を紡ぐ彼女。
まだ離れがたいのは山々だが、いつまでもベットの上にいるわけにもいかない。
今日のタイムスケジュールを考えると、そろそろ起きるべきだと頭では理解している。
椛の言葉に、気持ちを入れ直し、ベットから起き上がる覚悟を決める降谷。