第29章 川品中央総合病院
椛「零…
今日は本当に沢山ありがとう。
送り迎えも。
病院に付き合ってくれた事も。
服の事も。
ランチも。
お墓参りも。
連れて行ってくれてありがとう。
気をつけて行って来て。」
安室「あぁ、こちらこそ。
椛をアイツらに会わせられて良かったよ。」
椛「今度からお墓参り行く時は、私もまた一緒に連れて行って?」
安室「もちろん、いいさ。
一緒に行こう。」
先程掴まれ、触れる事を止められた手が解放されて、代わりに指を絡めら取られる。
椛「最後に、『今日はありがとう』と『いってらっしゃい』のキスは?
それもダメ?
煽ってる?」
真っ直ぐと彼を見つめて、一応今度はお伺いを立ててみる。
安室「煽ってるけど…
それは俺もしたい。」
椛「ふふふふっ♪」
彼の言葉を聞くと、嬉しそうに笑みをこぼす椛。
そんな彼女の姿が、愛おしくて仕方がない。
一度顔を見合わせると、お互い微笑み合う。
そして、今日何回目か分からない唇を重ねた。
この後の時間が決まってなければ、このままずっと触れていたいぐらい気持ちが良い。
黒の組織への潜入捜査任務に決着がついて、彼が『バーボン』から解放される日が1日でも早く来る事を、願わずにはいられない。
そんな1日だった。