第29章 川品中央総合病院
医師「結城さん、先程は庇って頂きありがとうございました。
そしてご主人も。
助けて頂きありがとうございました。」
椛「いえ、先生にお怪我が無くて良かったです。」
椛の言葉に安室も横で、医師に微笑みを向けながら頷いていた。
医師「先程のナイフ…
結城さんのお洋服を掠っていませんでしたか?」
医師の言葉に3人は、椛が着ているワンピースに目を向ける。
医師が言う様にスカートの裾脇辺りに、ナイフで切られた跡があった。
椛(あぁ〜、思いの外結構やられたな…
お気に入りだったんだけどな…)
医師「私が弁償します。
私を庇った所為なので。」
椛「いやいや!!
私が勝手にやった事ですから!
先生が責任感じる事は無いですよ!」
医師「いえいえ!
それこそ、そうはいきませんよ!」
椛「服は替えがききますから!」
医師「ですので、せめてその替えは私が責任を持ちますよ!」
お互い頑固で、それでいて人に気を遣うような性格の2人。
どちらも全く譲る気配がない。
安室(ふっ。
この2人はどこか雰囲気が似ているな…w)
このままだと、ずっと平行線で話はまとまらないだろう。
そんな女性同士のやり取りを側で終始見ていた安室が、声をかける。