第28章 早く起きた朝は
朝のさえずりと共に、薄目を開けて目を覚ます。
ゆっくりと瞳を開ききると、薄暗い部屋の中でも僅かな光に反射するミルクティー色の髪が、目に映る。
穏やかな寝息を立てる彼の姿が、すぐ隣にある。
いつも彼女が起きる時間より幾分早いが、昨晩は普段より少し早くベットに入った為、睡眠時間自体はちゃんと取れている様な気がする。
時間を確認する為、体をひねり、隣に眠る彼を起こさない様、静かにスマホに手を伸ばす。
画面を確認すると、時刻は朝6時を過ぎた所だった。
椛(8時間ちゃんと寝れたのか。)
前回一緒に寝た時は、起きたのが彼よりも後だったため、彼の寝顔は見れなかったが…
今日は、未だ目を覚まさない彼の寝顔が、目の前にある。
薄暗い中でも、薄っすらと見える彼の穏やかな寝顔は、昼間の姿より幾分幼く見えた。
椛(寝顔、可愛い過ぎでしょ…
そして本当に綺麗な顔してるな~
ずっと見ていられそう…)
すっかり目が覚めてしまった彼女は、そのまま彼の綺麗な寝顔を観察し続ける。
椛(この間も思ってたけど…
と言うか、前から思っていたけど…
普段はあまり寝れていないんだろうな。
平均睡眠時間、いつもはどれぐらいなんだろう。
休めるときはしっかり休んで欲しいな。
私で力になれることは何か、無いのだろうか…。)