第27章 ゼロの恋人
降谷「『婚約者』は?
どうだ??」
椛「えっっ!?!?」
急に飛躍した思いもよらない彼の言葉に、流石に大きく驚く。
そしてそんな彼女の様子に再び少し…ショックを受ける降谷。
降谷「そんなに驚かなくても…」
椛「あっ、ごめん!
突然でビックリしただけで、嫌とかではないんだよ!
ただビックリして…」
手を横に振って必死でフォローする彼女の姿を見ていると、思わず笑みが浮かぶ。
降谷「ははっ!
今すぐは無理だけど…
今の組織の案件が落ち着いたら…
これから先もずっと、椛と一緒にいれるように準備したいと思ってるよ。」
降谷は彼女の目線の高さに合わせて、瞳を覗き込むと、優しく笑みを浮かべた。
降谷「だから、椛が納得出来る言葉を選んでくれないか。
彼女でも、恋人でも、婚約者でも。
それか他に何か、納得出来る言葉があるならそれでも。」
椛(選んでと言われても…
選ぶ方が逆に気まずいと言うか…
何だか恥ずかしい…)
しかし、彼なりに一生懸命説明してくれたのは伝わってきた。
椛(変にこだわって、凝り固まった考え方に囚われてしまっていたのは、私の方だったのかも…)
椛「じゃあ…恋人でお願いします。」
改めて口に出すと、益々恥ずかしい。
彼女の言葉を聞くと安心したのか、降谷は嬉しそうに微笑む。
椛の手を取ると、両手で優しく包み込んだ。