第27章 ゼロの恋人
降谷「椛の事が何よりも大切なんだ…。
世界中の誰よりも…
君の事が好きだ。
どうかそばにずっといて欲しい。
僕と、付き合ってはくれないか?」
数日前、想いを伝え合った時の高揚感が甦る。
彼女の手を握り、再び想いを伝えた彼。
だが、彼女の様子を見ていると、まだ何か引っ掛かりを感じる。
何かを言い淀むかのように、目を潤ませている彼女に再び声をかける。
降谷「…公安が相手だと、やはり嫌か?」
その言葉にハッとしたように、今まで閉ざしていた口を開く。
椛「そんな事ないよ!」
慌てて彼の言葉を否定した彼女に、少し安心するが…
降谷「今君は何を思っている?
この際だ。
全部聞かせてくれ。」
その降谷の言葉に意を決したのか…
椛「…零にはもう恋人がいるでしょ?」
降谷「………はっ??」
思わず素っ頓狂な声が出る。
この期に及んで何を言いだすのか。
全く身に覚えのない彼女の言葉に、驚きを隠せない。
珍しくあんぐりと口を開けて、驚きの表情を向けている彼の様子を見て、言葉足らずだったと思い、補足を入れた。
椛「…『僕の恋人は日本』って前に言ってたじゃない。
私、恋のライバル『日本』とか勝てる気しないよ…
勝ち負けじゃないかもしれないけど…。」
降谷(そこか〜………)
椛の言葉に、
最後のピースがハマった気がした。