第27章 ゼロの恋人
椛(けど、これから手巻き寿司だしな…
それまで我慢しようかな。)
作業で散らかった部屋を片付ける。
とにかく服を作る時は糸屑や布クズ、そして細かいチリが、部屋に散乱する。
こればかりは仕方がない。
部屋を共通りにして、機材類も全てしまうと、仕上がった服4枚とも全てにコロコロを綺麗にかけ、ハンガーを通すと、作業中についた小皺を伸ばす為に、壁についている家具フックに綺麗に並べてかける。
仕上がった服を眺めると、やり切った感が出て来て、とても気分が良い。
椛(うんうん、良い良い♪
素敵素敵♪
仕上げプレスは明日でいいや。)
やり切った自身を褒め称えると、身体中についた布クズやチリを落とす為、軽くシャワーを浴びに浴室に入る。
細かいチリを落とし切ってサッパリすると、部屋着用のワンピースに着替えて、エプロンを着けると、キッチンに入る。
時刻は16時半。
酢飯用のお米は既に研いで、昆布につけながら浸水させているので、彼がくるタイミングに合わせて火入れをするだけだ。
付け合わせの薬味類のカットと、汁物の準備を始める。
椛(今日はお味噌汁より、何となくお吸い物の気分なのよね〜♪)
30分ほどキッチンに立ってると、スマホが鳴る。
この時間ならおそらく彼だろう。
画面を確認するとスピーカーにして、電話を取った。