第11章 追憶のカラクリ箱
椛「いつもいつも送って頂いてすみません。」
安室「全然構わないですよ。
こちらもその方が安心ですし。」
そう言って夜の車の運転席で、微笑む姿が目に映る。
最近、彼の笑顔が、どんどん眩しく見えてきてるのは、気のせいだろうか…
椛「ありがとうございます。
助かります。
ではまた水曜日に。」
安室「はい、また連絡します。」
そう言ってドアノブに手をかけた瞬間、
椛「あっ!!」
安室「!?
どうしましたか?
椛さん??」
突然、声を上げてこちらを思い切り振り返る。
安室「今日、安室さんと一緒にいたのに、何も事件に巻き込まれなかったですね!!
平和な一日おめでとうございます!」
安室(突然声を上げたと思ったら、何を言い出すんだこの人はw)
安室「あはははは!!
そんな、僕だってしょっちゅう事件に巻き込まれてるわけでは無いですよ!!」
椛「えっ??本当ですか?
通称『事件を呼ぶ男』なのに??」
安室「なんですか、そのあだ名はw
変なあだ名付けないでくださいw」
椛「そうですか?
けどまぁ、平和に越した事ないですからね♪
では帰ります。
今日もありがとうございました♪
安室さんも帰り道お気をつけて下さい。」
安室「えぇ、ありがとうございます。
椛さん、おやすみなさい♪」
椛「安室さんも。
おやすみなさい♪」
いつも通り彼女を見送り、自身の帰路に着く。
安室(本当、確かに彼女も言うとおり、今日もなんだかんだで平和な一日だったな。
次は水曜日か…
ディナー楽しみだな♪)
そうして、さっきまで彼女も口ずさんでいた『ふるさと』をふたたび口ずさみ、穏やかな気持ちで夜道を走るのだった。