第11章 追憶のカラクリ箱
安室(…今の俺の立場的にも、、、
もちろんアイツらとの約束もあるし、、、
俺の恋人はこの国だ、と思って今までずっと生きてきた。
だから俺は一生、そう言った所謂『普通の幸せ』 というものには、縁がないという事を疑いもせず、生きてきたが…。)
今の康彦の言葉を聞いて、一瞬2人が言う所謂
『普通の幸せの中に自分自身がいる』
そんな未来を想像してしまった。
チラッと横目で隣に座る彼女を見ると、未だ康彦の言葉を否定しながら、談笑している姿が目に映る。
風見の調べにもあったが、恋人は本当に今は居ない様だったし、婚姻経歴も無かった。
安室(椛さんは、結婚願望はあるのだろうか…)
一瞬、
ほんの一瞬、
彼女と過ごすそんな未来を、勝手に想像してしまった。
思わず口角が上がり、右手で口元を押さえて、彼女とは反対の方に顔を背け誤魔化す。
安室(ダメだ、、、
顔が緩む、、、
俺は今、黒の組織に潜入してる身だぞ!!
しっかりしろ!
俺は最近弛んでるのか??
平和ボケしてしまってるのかも…
いや、世の中が平和な事にもちろん越した事は無いのだか…)
最近定期的に、度々脳内に出てくるこのやりとりを
安室(またしてしまってる…)
と、自問自答している安室であった。