第11章 追憶のカラクリ箱
土曜の昼下がり。
先日の、芝浜離宮恩賜庭園で出会った老夫婦の自宅に向かっている、安室と椛。
今日はあの時約束した、食事会の日だ。
近くに駐車場が無かった為、少し離れた所に車を止めて、教えて頂いた自宅住所に向かって、2人並び歩いている。
椛「まだ、あれから4日しかたってないんですね。
けど何故か、既に凄い前の事の様に感じます。」
芝浜離宮恩賜庭園で過ごした時間を思い出しながら、彼に話しかける。
安室「そうですね~。
あの日も今日の様な、絶好のお出かけ日和でしたね。」
その言葉に2人で空を見上げる。
安室「今日は椛さんは着物じゃないんですね。」
そう言われた彼女は、今日は今までで一番、ラフな服装かもしれない。
色の薄いデニムのパンツに、ケミカルレースがあしらわれた、ライトブルーのシャツブラウスを着ている。
椛「お肉と聞いてたので、匂いが付いても、困らない服が良いかなと。」
安室「確かに。
お肉とは聞いてましたが、どんなお料理が出てくるのか楽しみですね。」
椛「そうですね♪
安室さんは、、、
今日は機動力が高そうな服装ですね。
またガードレールを『ヒョイっ』って出来そうです。」
安室「ガードレールをヒョイっ??」
耳慣れない言葉に首をかしげる安室。
比較的革靴を履いているイメージが強かったが、今日の安室はスニーカーを履いていた。
服装もネイビーのデニムのパンツに、モスグリーンのシャツと今までで一番カジュアルに見えた。