第10章 小さな探偵さん
ロータリーで彼を見送った後、彼女は駅前にある商業施設に、向かって歩いていた。
先ほど話していた本屋に向かうためだ。
椛(これから仕事って言っていたけど、きっと組織の方だろうな~。
という事はまた『CHANELのブロンドお姉さん』と一緒か~。
そのままだと長いから、これからは略して『シャネブロ』と呼ばせて頂こう。
名前知らないし。)
さっきまで、自身が座っていたあの助手席に、この後その『シャネブロ』が座るのか、と思うと嫌悪感が襲ってくる。
椛(いやいや、私、しっかりしろ!
そーゆー立場じゃないから。
私は依頼で傍にいるだけだから!
そーゆー立場じゃないから。ねっ!
むしろ『シャネブロ』みたいなお姉さんと並んで歩いてた方が、彼は合ってるから。
見た目はね。
あくまで見た目の話ね。
性格は知らないからね、、、
あぁ~もぉ~!
邪念煩悩あっちいけ~!)
悶々と心の声と葛藤しながら、目当ての本屋さんに向かうため、エスカレーターを上がっていく。
特に今すぐ欲しい本があるわけでは無いが、今週読む本が手元に無いため、何冊か欲しいなと思い、本屋さんに行きたかった。
家にある物を読み返してもいいけど、なんとなくそんな気分ではなかった為、こーゆー時は新しい本を数冊お出迎えしたい。
椛(今日は何にしようかな~♪)
本棚をグルグル巡り、目につく本を探す。