第44章 G線上のアリア
椛「そう言ってもらえて光栄だけど、
私が家で作るものは、大分私の趣味嗜好が反映されまくってるから…
って、今日のお店も市場調査で、半分仕事みたいなものだけど。
そして、大分マニアックなお店だと思うけども…」
安室「良いじゃないですか!
『椛先生』の市場調査に
『再び』同席出来て光栄ですよ。
それに、普段自分じゃ選ばないお店なので、
純粋に食事も楽しみです♪」
『再び』と言う所に、以前の記憶が椛の脳内で呼び起こされる。
前回の市場調査の食事の後は、爆弾事件に巻き込まれていた…
懐かしい様な…
振り返ると色々な事があったので…
もう、随分前のことの様に感じる。
椛「今日は何も、事件に巻き込まれないと良いな…」ボソリ
声を若干潜めて呟いたが、ちょうど静まり返っていた地下駐車場内では声は隠しきれず、安室に届いており…
安室「そうですね…
今日は出来れば食事を済ませたら、真っ直ぐ家に帰りたい…」
車を降りて、エレベーターへ向かおうとする椛の腰をグッと引き寄せると、彼女の後頭部にそっと口付けを落とす。
安室「椛の腰を抱いて良いのは…
俺だけだ…」コソ
昨日の事を根に持っているのだろう。
少し低めの声色で、小さく耳打ちする様に耳元で囁かれる。
彼の吐息が耳にかかる。
こういう時の彼のテノールは、腰によく響く。
一瞬ゾクリとして背筋を伸ばすが、そのままそっと彼の腕に椛は自身の腕を絡めた。