第43章 裏切りの擬装
黒田「動きの癖も、だいぶ取れてきた。
特に踏み込みだ。
以前より、相手との距離を測るのが上手くなっている。」
椛「本当ですか?」
黒田「ああ。
無意識に下がる癖が減ったな。」
そう言われ、椛はハッとする。
椛(確かに……
最近、怖くて下がることが少なくなったかも)
黒田「恐怖を消す必要はない。
だが“恐怖に支配されない”ことは重要だ。」
低く落ち着いた声が、練習場に静かに響く。
黒田「君は元々、状況判断が早い。
そこに体が追いついてきたというところだな。」
椛「……ありがとうございます。」
素直に御礼を言うと、胸の奥が少しだけ温かくなった。
黒田は厳しいが、決して無茶はさせない。
そんな所が、この人本来の性格の良さを表してるなと椛は思う。
黒田「動きがなんとなく、降谷に似て来ている気がするのだが…
あいつにも何か見てもらっているのか?」
椛「いえ、特に見てもらっては無いですよ。
むしろ彼に言ったら反対されると思ったので、秘密にしてました。」
黒田「ほぅ。」
椛「けど、先日いよいよ体鍛え始めた事バレました。
筋肉の付き方が変わったって。
ごまかしていたつもりなんですけど、
ごまかしきれず…」
黒田「そうか、じゃあ元々筋がいいのか。
柔道をかじっていた名残か?
思ったより上達が早い。」