第40章 立夏の約束事
翌朝
1日の始まりを告げる朝のさえずりが、窓越しに微かに聞こえる。
昨晩、間接照明を付けっぱなしで寝てしまったのであろう。
いつもより少し明るい朝の室内。
ゆっくりと瞼を開くと、目の前にはミルクティーベージュの髪を乱し、静かに寝息を立てている、彼の寝顔が目の前にあった。
椛(…零)
どうやら今日は椛が先に、目を覚ました様だ。
腕を伸ばして、ローテーブルに置いてあるスマホを手に取る。
時間を確認すると、朝の7時少し前。
ちょうどいつも椛が起きる時間だ。
スマホをローテーブルに戻すと、再び隣に眠る彼に視線を戻す。
すやすやと、気持ちよさそうに寝息を立てているその姿は、起きている時よりも幾分幼く見える。
椛(零の寝顔、本当に綺麗だよな…
それに無防備な感じが、堪らなく可愛い…
そういえば髭あまり生えてない。
髭薄いんだな…
肌も綺麗だな…
あとフェイスラインが本当に綺麗…
と言うか…
これは本当にまだ寝てるよね?
寝たふりじゃ無いよね?)
二度寝をする程眠くも無く。
むしろしっかり頭が冴えてきてしまったので、暫くそのまま彼の寝顔を見つめる。
昨日は疲れを隠しきれてない表情をしていたが、今見る分には大分、肌のハリ艶がいつもの彼に戻ってきている様に見えた。