第3章 お前も一緒に来るか?
「逸崎さん?大丈夫?」
ずっと呆然としていた#NAME1#の様子が気になり、女子の一人が声をかけた。
「……いや、転校してきて、本当に良かったなって」
逸崎は下手な嘘は苦手なので、ありのままの本心を話して、冷静さを見繕った。
そして、念のために言っておく。
「その…國神君とは友達ってスタンスで、これからも仲良くしたいから、その……あまり、変なこと言って、國神君を困らせないで欲しいかな」
確か、レギュラー入りを果たすために、今は大事な時期で頑張っているって、さっきマネージャーも言ってたからね。
すると、女子マネージャーの一人が、何やら怪しげな笑みを漏らして、詰め寄る。
「ほほぅ〜。変なことって例えば?」
「例えばって………その、私が、國神君に、気が、ある、とか?」
逸崎はついポロっと言ってしまいつつも、言えたことで、少しだけスッキリもした。
女子会はお開きになり、その帰り道、ガールズトークは絶えることなく盛り上がる。
ショッピングモール沿いの大通りから出て、あたりは住宅街の風景に変わっていく。
これからこの道が日常になっていくんだなと、逸崎は今後の新しい高校生活を意識しながら、ガールズトークに耳を傾け、微笑ましくする。
話の大半は、転校生である逸崎を中心にしたことで、あとは超のお人好しがつく國神のことだ。
「まあでも、國神君のこと、嫌いな女子なんていないでしょ。いるとすれば、嫉妬とか、叶わない恋で嘆く女子とかね」
スクバを軽く振り回しながら話す女子に、逸崎は聞く。
「やっぱりモテるんだね……あんなに優しいならそりゃそうか」
「やっぱり逸も、すっかり國神君推しになっちゃったか〜」
!!
逸崎は思わず足を止めた。