第3章 お前も一緒に来るか?
(だが男とか女とか関係無く、アイツが分け隔てなく"うち"(転校先)に馴染むのが何よりだ)
國神はバーガーセットにつけた烏龍茶をストローで飲んで、思いに耽る。
別にアイツのことをどうしたいとかじゃない。
ただ逸崎を、謎の転校生のままにしたくなかっただけだ。
変わってるとこがあっても、見た感じ訳ありそうでも、実際話してみると、結構良い奴で、お人好しなとこもあるし。
※國神も大概である。
(それに、どっかのスポーツ漫画でもあったかもしれないが、「サッカー好きに悪い奴はいない」。ちょっと、自信無さげで弱気なところはあれだが)
クラスメートの話に耳を傾けながら、改めて思う。
俺からしたらアイツは__
「やっぱ逸崎さんからしたら、國神くんアリなの?」
(やっぱりこういう話の流れか〜ッ……)
一方で女子会の方は、恋バナの真っ最中。
話の中心に立たされていた逸崎は、内心頭を抱えていた。
サッカー部男子との買い物を終えたマネージャー一行は、今回イレギュラー参加をした逸崎を誘って、某ファミレスで話に耽っていた。
正確には、逸崎以外ではあるが。
各々が持ち運んだドリンクバーをテーブルに置き、それぞれが好き勝手に話を運ぶ。
「だって、皆でプリクラ写真デコってた時、逸崎さん國神くんと何か良い雰囲気に見えたけど?」
「それは"そっち"(プリクラ勢)こそが良い雰囲気で楽しんでいたから、そういう風に見えたんじゃないかな?別に國神くんとはただの友達だから」
逸崎はすかさず否定する。
さっきまでモジモジしていた内気な少女の面影は無く、國神が思っている以上にグループ馴染んでいた。
それも、関係を疑われるようなことなら尚更、逸崎は黙っているわけにはいかなかった。
(聞いたところによると、彼女はいないらしいけど、そういう問題じゃないんだよ…)
女子ならではの恋の冷やかしは、コミュニケーションの一環で、別に悪いとは思わない。
ただ、度が過ぎるのも良くない。
逸崎は自身が選んだドリンクバーの烏龍茶を飲んでから言う。
「國神くんはただ、誰にでも優しくて、転校生の私を気遣ってくれているだけで……向こうはきっと、そんなつもりじゃないよ」