第3章 お前も一緒に来るか?
「ねえ逸崎さん!女子会しようよ!!」
「!」
帰り道の別れ際、サッカー部のマネージャーに声をかけられ、思わず自分を指差す。
「わ、私…?」
「他に誰がいるの?私、逸崎さんと同じクラスで、一度ゆっくり話したいと思ってるんだよ〜。でも、休み時間は全っ然見かけないから。どうかな?」
他の女子達も乗り気で、期待の目をこちらに向けている。
「えっと……」
注目の的になっている。
好奇な目では決してない。むしろ、私を歓迎してくれる優しい目だ。
でも、サッカー部の関係者と親密になるのには、少し迷いが出てしまう。
何故なら、私にとってサッカーに関することは、楽しいことでもあり、同時に辛いことでもあるからだ。
國神くんに誘われたから来たけど、これ以上は……
「行ってこいよ」
「!」
振り返ると、その本人が私の後ろにいた。
「せっかくの機会だし、女子同士だからこそ楽しく話せることだってあるだろ?」
背中を押してくれるような優しい声で、不思議と勇気のような前向きな気持ちが湧いてくる。
「迷っているなら、やらない後悔よりやる後悔を選べなんて言うし。それか、門限とかあるのか?」
「……いや、別にないよ…分かった。行ってみるよ」
逸崎は國神のアドバイスを快く受けて、女子達の後を追って、輪に入っていった。
男女できっぱり分かれて、男子は男子の方で、どこか違う場所に寄ろうかと、商店街の通りを歩いていく。
ビルの2Fにマックがあり、そこにしようかと入っていく中、サッカー部の1人が國神に話を持ちかける。
「……國神ってさ、逸崎さんとやけに親しいよな」
「!」
「あー、俺も思った!本当に昨日知り合ったばかりなのか?」
他の男子も釣られて話に入る。段々と冷やかすようにちょっかいを言ってくる。
「ぶっちゃけどうなん?やっぱアリなの?」
「そんなのじゃねェよ。逸崎とはただの友達だ」
國神は反論する。
「そうか?逆に逸崎さんの方は、お前に脈アリな感じしてたぞ?ショッピングモール中だって、遠目でお前のことばかり見てたぜ」
「!」