第3章 お前も一緒に来るか?
『え?』
逸崎と女子マネは同じタイミングで声を上げる。
「いや…なんつーか、俺も写真はそんな得意じゃねえし、今日はよしとくわ」
國神は片手を上げて「ごめん」のサインをする。
「ふーん、まあ分かった。うちらで写真撮っておくから、待っててね」
「おう」
女子マネは輪の中へ戻っていき、皆はプリクラボックスの中へと入って行った。
その後ろ姿を見届けた2人は同じタイミングで顔を見合わせた。
「えーと、ごめん。気を遣わせちゃった、かな…?」
逸崎は申し訳なさそうに声を出す。
「……お前、昨日みたいに顔色悪いぞ。大丈夫か?」
「!」
明らかに心配されて気遣ってもらい、逸崎はますます顔を伏せる。
國神は彼女を連れて、ゲームセンター外のすぐにあるベンチに座らせた。
「何か飲みたいものでもあるか?」
「いやいい。水筒はいつも持ち歩いているから」
逸崎はスクバから取り出して、口に含んだ。
一息ついてから、苦笑いを浮かべる。
「何か…昨日と同じ、デジャヴって感じだね…」
「……隣いいか?」
「!!。も、もちろん。いいよ」
昨日とは違い、國神が隣に座り、横並びになった。
「國神くんも、写真苦手なの?」
逸崎が聞くと、國神は上を見上げて考える仕草をしてから応える。
「写真自体は別に嫌いってほどじゃない。狭い空間でじっとしてるのが、少し窮屈で得意じゃないって感じか?」
(あー確かに。体格が良い人ってそういう悩みもあるんだ)
逸崎は今までの交友関係の中で、そういった人がいないため、何だか新しい発見をしたような物珍しさがあった。
そして今度は國神が聞く。
「そういうお前は、写真自体が苦手?なのか?」
「……」
逸崎はクールダウンの為なのか、水筒をまた一口飲んだ。
その飲み方には、スポーツマンならではの勇ましさみたいな面影があると、國神は印象を受ける。
そして彼女の口が開く。
「昔ね、サッカーやってたんだ。東京のチームで」
「!」