第3章 お前も一緒に来るか?
「じゃッ…じゃあ私帰るね。お菓子ありがとう」
逸崎は何かを急ぐように、そそくさとその場から立ち去ってしまった。
「お、おい」
國神は手を伸ばしたが、まもなく女子2人が入れ替わるように現れた。
「やっほー。中練もう終わったの?」
サッカー部のマネージャー達で、部室の備品管理の仕事を終えてきたので、合流してきた。
「おう。俺も今國神と合流してな。逸崎さんも今さっきいて」
「逸崎さん…?……ああッ!"謎の転校生"ね!」
『?』
女子マネの1人が閃いたように手を合わせて声を上げ、國神とチームメイトは首を傾げる。
「"うちら"(女子)の間でも話題になってるよ。何か凛々しいというか、流石都会から来た子だな〜って、一目置いているっというか?」
都会っ子特有のキラキラした感じがあり、誰ともあまり喋らず、無口で物静かな雰囲気が、一部の人に刺さっていると。
「確かに!スタイルめっちゃ良いし、他の女子と一味違うというか、佇まいで何か格が違うんだよね」
東京の最先端の流行についても知っていそうで、クラスメートはこぞって彼女に聞いた。
原宿のクレープや新宿のルミネ、京王多摩センターのサンリオピューロランドや三鷹のジブリ美術館など。
秋田の田舎にはない物や人について、ここ数日はこぞって質問コーナーと化していた。
「聞けばちゃんと答えてくれて、基本優しいよ。もっと話したくてお昼に誘ったりしたけど……」
「?」
聞くところによると、お昼の休憩時間は
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決まって教室を抜けて、
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どこかに行ってしまうんだと。