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とんだお人好しヒーロー《ブルーロック》

第2章 また明日な



ピコンッ

「え、返信早ッ…」

逸崎は思わず口にしてしまう。

風呂上がりで髪を片手でタオルドライしながら、空いている手でスマホを凝視する。


『ありがとよ。風邪引かないようにちゃんと寝ろよ。おやすみ』


何の変哲もない文章でも、送り主には『國神錬介』と書かれている。

初めての人からの初めての送られた言葉に、何か心が動かされる気がする。

「……錬介くん」

試しに名前を呼んでみると、羞恥心が身体中を走り巡り、ベッドの上に倒れ込んで丸くなる。

「阿呆か私。初恋の小学生かッ」

でも、悪い気はしなかった。


体を反転させて、天井を仰ぐ。

電灯が眩しくて、掌を掲げて遮った。

誰にでも分け隔てなく優しいヒーローみたいな人。

実際にヒーローを目指しているから、今日助けてくれた理由もよく分かる。

あれは自分がなりたいもののためであり、
・・・・・・・・・・
私個人のためではない。だから
・・・・・・・・
勘違いしちゃダメだと、心に留める。


逸崎はスマホのLINEトークをスワイプすると、3ヶ月前の過去のやりとりが映る。

こちらが勝手に既読無視しているが、ずっと疎遠でいる"かつての仲間達"。


『そっちの生活はどう?早く帰ってきてね』

『私達はいつでも、逸の味方だよ』

『早く元気になってね!』


自室を見渡すと、衣装ケースの上のスペースには、数々のトロフィーとメダルを飾っていた。

今となっては、ただの過去でしかないのに、捨てられないまま中途半端に、引きずったままでいる。

あの頃なら、私にも理想があった。目標があって、誰よりも早くに伝えたい人がいた。

でも今は……

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