第2章 また明日な
「こんばんは。錬介の同級生かな?話は電話で聞いたよー。弟がお世話になりました。あざっす」
片手を敬礼のポーズのように上がる。
「い、いえ、私は何もしていません。むしろ、助けられた方で……」
「へえ〜、やっぱりそういう出会いなんだ……」
お姉さんはニヤニヤして、國神を見上げる。
「やるじゃん錬介。姉ちゃんは鼻が高いぞ〜」
肘を軽く当てて茶化すように言い、國神は目を逸らして無愛想に言う。
「別にそんなんじゃねえ…し」
「何だー?照れ屋さんの反抗期かな〜?」
微笑ましい姉弟仲を前にして、逸崎は何も言わずにただ思った。
(なんか、デジャヴ……)
身内が連れてきた同級生に興味津々でテンション上がる様子は、沙織さんのターンでもう見た。
國神くんもさっきこんな気持ちで、私と沙織さんの様子を見ていたのかな。
そしてまた話を振られる。
「かっこいいスポーツウェアだね!貴方もサッカーするの?」
「はッ、はい…」
意外でつい声が裏返ってしまう。
確かにスポーツウェアを着ているが、開口一番にサッカーをしているか?と聞かれるとは思わなかった。
女子がするスポーツは、バドミントンやバスケならまだ分かるが。
着ているブランドも、別にサッカーに特化したメーカーとかでもなく、どこにでもある物なのに。