第2章 また明日な
「悪ぃ。聞いちまって」
「いや別にいい。むしろ、会ったことない人のことで、気を遣われる方が好きじゃない」
意外と淡泊しており、物事に分別しているようだ。
そういうところは意外と大人びており、母親がいない環境で育ったと分かると、何となく納得がついた。
自分のことは自分で色々とやってきたからこそ、そうやって冷静に物事を見極められる。
もしかしたら、そんなさっぱりとした性格が、正確かつ速いプレーに繋がっているのかもしれないと、國神は自分で想像した。
すると逸崎は國神を見上げて言う。
「それに、そうやって気兼ねなく聞いてくれた方が、友達っぽくていいんじゃない?」
「!」
彼女はさっぱりしてて、そして優しい。
國神は自分の心臓の鼓動音と共に、ますます逸崎への好意が高まる実感があった。
「それに、もし母親がいたら、きっとサッカーやっていなかっただろうし」
「!」
それってどういう……
「あれえ?!錬介!その子同級生?」
『!』
その時、國神宅から1人の女性が出てきて、暗い雰囲気が一変する。
「姉ちゃん」
(え、お姉さんもいたの?)
女性の興味は弟からその隣の女子に向く。