第2章 また明日な
まもなく國神宅に到着して、玄関先にはすでに國神の母親が待機していた。
「初めまして。錬介から事前に電話で聞きました。澤田さん?ですよね。息子がご迷惑おかけしました」
「いえいえこちらこそ。うちの姪がお宅の息子さんに遊んでいただいて、ありがとうございます」
保護者同士が挨拶をする中、國神は先に車から降りて、逸崎に手を差し出した。
「!」
「足元、滑るかもしれねえから」
逸崎の体調を案じての気遣いで、本人は驚きながらもその手を取った。
力強い手に引かれて、車の外に出て、共に國神宅の屋根のある場所に寄った。
「送ってくれてありがとうな。体の方はもう大丈夫か?」
「……うん。大丈夫」
逸崎は軽く会釈して、國神はふと思う。
(コイツ。全然笑わねえな……)
逸崎の視線に釣られて、お互いの保護者がペコペコと挨拶する様子を遠目から見る。
(叔母ってことは、母親の妹ってことだよな…?)
じゃあ逸崎の母親は……
「あれ、國神くんのお母さんだよね」
「!」
逸崎は掌先を向けて言うと、國神はそうだと答える。
「そうか。優しそうな人だね……」
國神は恐る恐る聞いてみることにした。
「……お前の母親って、今」
「物心つく前にはいなかった。私を産んだ後すぐ病死したって」
國神は少し後悔する。
そりゃ、叔母と二人暮らししているとなれば、並々ならぬ事情があるのは察しがつくはずなのに。
好奇心で聞いてしまった。