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とんだお人好しヒーロー《ブルーロック》

第2章 また明日な



そして國神の向かいに座って姿勢を正す。

「改めて初めまして。私、逸崎充ちゃんの叔母の澤田沙織と言います」

年齢は30歳前後ほどで、逸崎と並ぶとギリ姉妹に見えるくらいの容姿だった。

ただ性格は明らかに正反対で、明るくニコニコしている太陽のような人だった。

「ど、ども。國神錬介です…」

國神も軽く会釈して挨拶する。

姉と妹がいて、女性と話すことには慣れているが、急な展開には慣れていない様子でいた。

まさか出会って1時間ちょっとしか立っていない女子の家にお邪魔するとは思わなかった。

しかも何か訳ありそうだし。

(「"居候"させてもらってる」っつったよな?つまりアイツには、別で実家があって、今は一時的にここに住まわせてもらっているってことだよな…)

部屋を見渡すと、棚に収納されている皿やカップの数からして、2人暮らしであることは確かなようだ。

「突然ごめんなさいね。何度も言うけど、あの子が家に友達連れてくるのは本当に初めてで、ついテンションが上がっちゃって」

「いえ全然。むしろ、雨の中上がらせてもらって、助かりました」

國神はココアを頂く。ほどほどに温かく、すぐに飲めたので丁度いい。

「……ねえ。國神くんは、あの子のどこがいいと思ったの?」

ブッ

急な変な質問で、國神はカップの中でココアを変に吹いてしまった。

だって質問の意図が明らかに……

ゲホッゴホッ

「ああ〜…!ごめんごめん。そういうことじゃなくて、友達としてね!1人のフレンドとしてねッ」

沙織さんは慌てた様子で訂正する。

「あの子サッカーするでしょ?男の子からしたら、あまり…よく思われないことが多いから……その…國神くんからしたら、どう思うのかなって?」

「!」

沙織さんはさっきまでのテンションが一変して、逸崎の身内として改まる。

「あの子、周りになんて言われようと、小さい頃からずっとサッカーしてきて……もちろん、好きなことをさせるのは、保護者として当然なんだけど、でも、心配で…」

「……」

沙織さんの口調からして、やはり逸崎は同じような経験を何度もしてきたのだ。

現にさっき、逸崎自身の口から聞かされたばかりだった。


『……いいんだ。慣れているんだ。ああいうこと言われるのは』


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