第2章 また明日な
ミスはしなかったけど、正直、ついていくのがやっとだった。
いや、皆多分本気を出さずに、女子である私を気遣ってセーブしてプレーしていたと思う。
勝てたのは偶然だ。最後にゴール決められたのも偶然。
今思えば、あの不良3人の言う通りかもしれないな……
いくら誘われた側だとしても、空気を読んで、自分から断るべきだったのか。
いや、それこそ空気読んでいないんじゃないか。
頭の中で色々と考えていると、いつの間にか雨が弱まっていたことに気付く。
秋田の夕方の雨景色。いい感じの男子と相合傘する帰り道。
いかにも青春って感じの絵面かもしれないが、それを楽しめるほど今の逸崎の心は穏やかではなかった。
(結局、私、何がしたいんだろうな……)
言われなくても分かっているんだ。嫌って思わなくなってしまうほど、子供の頃からずっと。
女子が男子に敵うはずがない。サッカーをするのは男の子の方が楽しいって……
「危ねッ」
グイッ!
「!」
國神に肩ごと体を引き寄せられると、車が横切っていった。
気付いたら河川敷を降りて道路を歩いていた。
夕方の退勤時間で、いつの間にか車通りが多くなっているのだ。
車道と歩道の間は白いラインだけで仕切りがないから、相合傘で隣り合わせで歩くなら尚更気をつけてないといけない。
少しはみ出て歩いていたのを、國神にまた助けてもらってしまった。
「道路側は危ねえぞ。こっち来い」
「あ…ごめん……」
逸崎はパッと改めて國神を見ると、すごい体格だなと思った。
まさに、ザ・男子って感じの印象だった。
「……大丈夫か?」
「?」
國神は逸崎をすぐ離さず、顔を覗くようにして聞いてきた。
かなり近距離で向かい合っていて、逸崎は戸惑いを覚えつつも答える。
「あ、ああ。白いライン踏んじゃったのは、さっきの試合で足がもたついているだけだよ。数日経てば元に__」
「そうじゃねえ」
國神は心配していたのは、彼女の体調面だけではなく、もっと内側のところだった。
「さっきの奴らに、ひでぇ事言われたから、落ち込んでんのかなって」
「……」