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とんだお人好しヒーロー《ブルーロック》

第2章 また明日な



折りたたみ傘を開いてみると、案外大きめで助かった。ただ、
・・・・・・・
2人で入るにはやや手狭だが、背に腹は変えられない。

身長が高い國神が傘を持って、逸崎がその中に入り込むような形で相合傘をしていた。

話としては、まず逸崎の家まで2人で傘を使って行き、それから國神がその傘を借りて自分の家まで帰るという事に決まった。

國神にとって、家まで若干遠回りのルートになるが、お互い風邪をひかないよう帰るための最善策だ。

雨で隣り合わせだと会話がしづらいということもあり、特に何もない沈黙が続く。

「……」
「……」

國神は隣を一瞥し、淡々と横を歩く逸崎の姿を気にしていた。


サッカーのプレーは明らかに経験者だった。

遊びで身につけた付け焼き刃とかでは断じてない。

それもかなり昔からやっているくらい手慣れていて、基本の動きにブレがない。

自分のプレーを確立させて精密さを向上させてきた、そんな動きに見えた。

逸崎本人は「療養の期間があって体力がかなり落ちた」と言っていたが、その前はきっと……

(なんか喋った方がいいよな。そういや高校どこか聞いてなかったな)

女子サッカーはあんまり馴染みねえが、少なくとも、
あんなプレーできる女子がうちの地元にいりゃ、それなりに噂は聞くと思うけどな……


「あの……聞いてもいいかな?」

「!」

意外にも逸崎から話しかけてくれた。

「出会いが喧嘩の仲裁でその後まもなく相合傘して帰るなんて、そんな状況ってよくある話なの?」

「……少なくとも、俺は初めてだし、聞いたことがねえな」

「同意見で良かった」

何やらの事実確認だった。

(不思議な奴だな……)

(あ〜明日完全に筋肉痛だな…)

一方逸崎は、歩く動作に比例して両脚の痛みと疲労がじわじわ本格的になっていくのを感じる。

正直先ほどの男子に混じった試合は、かなり無茶したと自覚していた。

半年くらい前まではレギュラーとして普通にやっていたプレーも、今では男子におんぶされて助けられるくらいの付け焼き刃に成り下がってしまった。

逸崎は生乾きのネックウォーマーを付けて、口元を隠す。

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