第2章 また明日な
ザァァァァ ゴォォォォォウ
突如の豪雨で、國神と逸崎は先ほどとは違う意味で追いやられていた。
人間相手ならまだしも、天候相手に勝てるわけがない。
木の下でも完全に雨除けになるわけでもなく、雨の冷たさでますます寒くなってくる。
(迂闊だったぜ。そういや、やけに皆帰る時間がいつもより早ぇと思ったら)
ちゃんと天気予報チェックして、傘持ってくれば良かったな。
國神は自分の濡れた髪をわしゃわしゃかく。
スッ
「!」
隣にいる逸崎が先ほど返してもらったタオルを國神に差し出す。
「使う?そんな使ってないから」
「お、おう…サンキュ」
國神は流れるがままに受け取った。
(返したのに返されちまった……)
しかし逸崎だって髪の毛が濡れている。
女子の長めの髪だと余計に水分を含めるなら、自分がタオルを使うべきでは。
カバッ
「!」
國神がそう指摘するより早く、逸崎は自身のネックウォーマーを急に外した。
後頭部に手を回して後ろから髪をかきあげるようにして取って、輪っかの内側をひっくり返す。
外側は雨で濡れているため、乾いている内側を表面にして髪や顔をおもむろに拭く。
逸崎の首元が露わになり、國神はその様子を横目でつい見てしまう。
「……」
口数が少なく陰気な印象からガラッと変わった。
髪の毛先はネックウォーマーの内側に巻き込ませていたため、下ろしてみると意外に長い。
口元がはっきりと見えて、何か人間味も出てきたように見える。
「……なあ」
「?」
呼んでみて顔をこちらに振り向かせてみる。
じ〜っ
「え、何?」
間近で見てみると、意外と可愛い顔をしていて、雨のせいかより色っぽ……
(って、何考えてんだ俺ッ!)
ワシャワシャ!
國神は脳内の邪神を払うように、自分の髪を強引に拭いて乾かす。
「なんか、悪ぃ」
「?」