第10章 オフ②
凪君の打ったサーブは回転がかかり、受けた時光君は返すのが精一杯。
「わわっ、、、ごめんなさい〜っ」
甘いボールが返球されたの玲王が見逃す筈もなく、スマッシュを打つべくラケットを振り上げた。
その既視感のあるフォームに私を含め、この場にいた全員が目を見張る。
ーーーーーこれ、さっきの蟻生君と同じ…‼︎⁇
自分のモーションを真似された事に驚いたのか、蟻生君の反応が僅かに遅れ、玲王の"オシャスマッシュ"は見事に決まった。
「よっしゃ‼︎‼︎」
「やったね、レオ。」
「ハハッマジか‼︎ここでもコピー⁈」
「へぇ〜やるやん、あのボンボン。」
「俺のスマッシュをコピーするとは…完敗だ、チームV。」
「僕が足引っ張っちゃったけど…凪君のサーブも凄かったよ〜」
玲王と凪君はパシッとハイタッチを交わすと、試合さながら蟻生君と時光君と握手を交わしお互いを讃え合っている。
そんな彼らを傍に、、、
『乙夜君……どうするの?私帰るからね?』
「えームリ〜。」
『私もムリ。あとは皆んなで楽しくやって、ね?』
盛り上がってる今なら帰ってもバレないだろうとバッグを肩に掛け帰る支度をしていると、隣にいた乙夜君が肩にチョンと顎を乗せてきた。