第10章 オフ②
「え〜じゃあ俺も一緒に抜けるから2人でどっか行こーよ?」
『いやいやダメでしょ、せっかく皆んなで遊んでるんだから。』
「え〜ちゃんいないのマジ下がる〜。」
甘えてくる乙夜君をどうにか説得しようとしていると、
「!」
ん?と目を向けると、盛り上がっている輪の中から千切君が手を振っている。
「次トランポリンかボーリングかカラオケだったらどれがいいー?」
『え、、、』
思わず口元が引き攣る。
あんなキラキラした笑顔を向けられたら「帰るとこでした」とはさすがに言いづらい。
どうしようかと口篭ってると、私の肩に顎を乗せていた乙夜君が「これはまだ帰れないねー?ちゃん?」と耳元で囁いてきた。
ムッと口を尖らせる私を見て乙夜君がクツクツと喉奥を鳴らしていると、
「おい乙夜、近すぎ。から離れろ。」
「・・・・ハイハイ。くのいち怖〜。」
千切君にビシッと指を差された乙夜君は大袈裟に肩を竦めてみせる。
そのまま大人しく離れるのかと思いきやーーー
「つーか俺、ちゃんとカラオケ行く約束してたし次カラオケで良いんじゃん?ホントは2人きりで行きたかったけどねー。」
前髪を弄りながら今度は乙夜君が挑発的な態度をとったのだ。
それを聞いた千切君のこめかみあたりがピクッと反応する。
ちょっと待って?
私そんな約束した覚えないんですけど⁇
してもない約束を平然と口にする乙夜君にジト目を向けるも、本人に悪びれた様子はない。
「じゃあ次はカラオケで決定?千切もそれでいい?」
「え?あー…オッケ。」
「はいはーい‼︎じゃあレッツカラオケ〜〜☆」
乙夜君に丸めこまれたのか、上手く誘導させられたのか、、、、
どちらにしてもカラオケに行くことは決定してしまった。
これは長い一日になりそうだなぁ。。。
喉元まで出かかったその言葉はグッと飲み込み、高校生の底知れぬ体力に驚かされるのだった。