第10章 オフ②
一際賑やかな声がする卓球スペースへと足を進めて行くと、
「オシャスマーーッシュ‼︎」
キレッキレの豪速スマッシュが玲王、凪チームのコートに入ったところだった。
ーーーーえっとー…卓球の選手、じゃないよね⁇
サラッサラの長い髪を靡かせながら謎のポーズを決めている蟻生君。
プロなんじゃないかと見間違う程のスマッシュに時光君や周りの皆んなも沸いている。
(いやいや、あんなの普通に返せないでしょ………
ボール目で追えなかったよ……⁇)
・・・って今は見入ってる場合じゃないんだった‼︎
ふと我に気付き乙夜君の元へと足早に近づくと、本人はもちろん、隣にいる烏君と雪宮君まで「あ。」と気不味そうな顔を浮かべている。
この反応からしてやっぱり言い出しっぺは、、、、
『乙夜君。私を景品にしたでしょ?』
隣で顔を背けて笑いを堪える2人を横目に、ムスッと眉間に皺を寄せながら乙夜君ににじみ寄る。
「ハイ……スイマセン……。ついノリで言っちゃいました。あ、でもこれには深〜いワケが……」
『・・・ワケ?』
「うん。ちゃんと一緒にいる口実、つくりたかったんだよね。」
『口実って……あのねぇ。』
「だってそうでもしないとちゃん一緒にいてくれないっしょ?テキトーなところでドロンしよ〜とか考えてるっしょ?」
『・・・・・・・別に』
「ほら、図星。めっちゃ目泳いでんじゃん。」
『いや…だってこういうのは男同士の方が盛り上がるだろうし。
それに蟻生君と時光君とはちゃんと話した事もないんだから朝まで一緒にいられる権利なんて返って迷惑でしょ?だから私はそろそろ、、』
帰るよ、と言いかけたところで、
「ちゃん、オシャネガペアが1位になるとは限らへんみたいやで?」
烏君がニッと笑みを浮かべながら「見てみ?」とスコアを指差した。